インフラエンジニアのVPS徹底比較

VPSで気を付けること(注意すべきこと)

VPS(仮想専用サーバー)では、通常のサーバー(専用サーバー)と異なり気を付けるべきことがあります。
■VPSで気を付けること

・SWAP(スワップ)領域を使えない仮想環境
・利用できないコマンド・ソフトがある仮想環境
・ウィルス対策ソフトが使えない仮想環境
・VPSのフェイルオーバーを過信してはいけない

各VPS業者が採用している【仮想化エンジン】の種類を把握し、システムにあったVPSを選択することが必要です。

SWAP(スワップ)領域を使えない仮想環境

VPS(仮想専用サーバー)によって、SWAP領域が使えない場合があります。
特に仮想化エンジンが「Virtuozzo」と「OpenVZ」である場合は、SWAP領域が使えない可能性がありますので、業者に確認する必要があります。

■「Virtuozzo」と「OpenVZ」のリソースに関する問題点
・SWAP領域が使えない場合、メモリ使用率が100%になったときに、アプリが落ちる可能性があります。
　DBを使う場合は、SWAP領域が使える環境を選択しましょう。

■SWAP領域が使えない環境での対策
・メモリ容量のサイズは、十分多いプランを選択する
・ステージング環境・開発環境として割り切って利用する。
　静的ページ中心のサイトでも問題なく利用できるでしょう。


VPS契約後のトラブルを避けるために、どんな「仮想化エンジン」を使用しているのかを把握 しておきましょう。

利用できないコマンドがある仮想環境

Virtuozzo/OpenVZでは、Linuxカーネルを全てのインスタンスで共有しているため、一部のハードウェア制御系のコマンドが使えません。
しかし利用できない特定のコマンドは、通常のサイト運用で必要としないため問題は発生しないでしょう。
インフラ系の検証環境として利用する場合は、注意が必要です。

ウィルス対策ソフトが使えない仮想環境

準仮想化されたゲストOSの場合、常駐型のウィルス対策ソフト(アンチウィルスソフト)が正常に動作しない場合があります。
その場合、非常駐(定期バッチで実施)型のウィルス対策ソフト(アンチウィルスソフト)であれば、正常に動作する可能性が高いです。
また、完全仮想化のゲストOSであれば、常駐型のウィルス対策ソフトが正常に動作する可能性が高いです。

※完全仮想化と準仮想化について
■準仮想化
　準仮想化は、ゲストOS側に修正を加えることで、デバイスを直接アクセスできるためパフォーマンスがよくなる。
　しかし、ゲストOS側に修正が加わっているため、ウィルス対策ソフトなどが正常に動作しない可能性がある。
■完全仮想化
　完全仮想化は、ゲストOS側に修正がないため、物理サーバーと同様の動きをする。
　トラブルを回避し、安定した環境を求めるのであれば、完全仮想化を選択すべきです。
　
　※「お名前.comのVPS」は準仮想化と完全仮想化を切替えることができるので準仮想化ドライバーによる 　パフォーマンスを試すことができます。

【仮想化エンジン】の種類

仮想化エンジン	SWAP	VPS業者	概要
Virtuozzo	非対応	[Speever(スピーバー) VPS] [SEEDS VPS] [使えるねっとのVPS]	Virtuozzoは、サーバの仮想化方法としてOS仮想化(コンテナ化)を採用しています。 Windows版、Linux版があり、管理機能が充実しておりホスティング業者が多く利用しています。 Virtuozzo/OpenVZでは、Linuxカーネルを全てのインスタンスで共有しているため、swapon/off,ntpコマンドなどの一部のハードウェア制御系のコマンドが使えません。
OpenVZ	非対応	[WebARENA SuitePRO(VPS)] [WebARENA VPSクラウド] [ServersMan＠VPS] [お名前．comのVPS(VZ)]	OpenVZはVirtuozzo（Linux版）のいくつかの機能(管理機能など)を省いたオープンソース版であり、安価なVPS(仮想化専用サーバ)業者で採用しています。 Virtuozzo/OpenVZでは、Linuxカーネルを全てのインスタンスで共有しているため、swapon/off,ntpコマンドなどの一部のハードウェア制御系のコマンドが使えません。
KVM (完全仮想化)	対応	[Conoha VPS] [SPPDのVPS] [お名前．comのVPS(KVM)] [さくらVPS] [CloudCore VPS] [GMOクラウド VPS] [ABLENET]	KVMは、Linuxカーネル 2.6.20 以降に標準搭載されたLinuxカーネル仮想化基盤です。 KVMは、完全仮想化であるためVPS特有の問題を発生することは少ないためおすすめな仮想化エンジンです。
XEN (準/完全仮想化)	対応	[@YMCのVPS]	準仮想化と完全仮想化に対応したハイパーバイザーであり、XenとHyper-Vは共に同一の仮想化コアを用いています。 高機能であるためVPSよりクラウドサービスで採用されています。
Hyper-V (準/完全仮想化)	対応	[VirtualWeb]	マイクロソフト社が開発したハイパーバイザーであり、XenとHyper-Vは共に同一の仮想化コアを用いています。
ESXi (完/準仮想化)	対応		VMWare社が提供している仮想化エンジンであり、高機能であるためクラウドサービスで採用しています。 クラウドサービスとして採用されることが多いことから安定性があることは立証済みです。

※お名前.comのVPSは、仮想化エンジンがOpenVZとKVMのものがあります。
　お名前.comのVPS(KVM)の仮想化エンジンは、KVMです。
　お名前.comのVPS(VZ)の仮想化エンジンは、OpenVZです。
※XEN,Hyper-Vは、準仮想化、完全仮想化の両方をサポートするハイブリッドであるが、基本は準仮想化です。
※ESXiも準仮想化、完全仮想化の両方をサポートするハイブリッドであるが、基本は完全仮想化です。

VPSのフェイルオーバーを過信してはいけない

各VPS業者が提供する注目すべき機能の中で、フェイルオーバー機能があります。
このVPSのフェイルオーバー機能は、ホストOSに障害が発生した場合にフェイルオーバーする機能であり、ホストOSの 障害による長時間にわたる停止のリスクを回避できます。

しかし、この機能があるため、契約者が使用する仮想専用サーバーが冗長化(アクティブ-スタンバイ構成)されていることにはなりません。 つまり、仮想専用サーバーの障害でフェイルオーバーする機能ではないことに注意する必要があります。

■フェイルオーバー機能があるVPS業者
　・フェイルオーバー機能があるWebARENA SuitePro
　・GMOクラウドのVPS

その他「VPS(仮想専用サーバー)を契約する前に確認すべきこと」も参考にしてください。